専門職大学に行くメリットは?既存の大学や専門学校はどうなる?
2017/05/17
政府が新しい教育機関として「専門職大学」なるものがスタートしようとしています。
名前の通り、その道のプロ・職人を養成する学校になりますが、経済界からの強い押しで政府が実現させようとしています。
この新しく創設される専門職大学が出来ることで、メリットはあるのでしょうか。
また、既存の大学や専門学校はどうなってしまうの?と気になったのでまとめてみました。
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何故、専門職大学が必要?
専門職大学は2019年からスタートする事が決定しています。
位置付けとして職業スキルに特化したカリキュラムになっています。
こうした大学が誕生する経緯に至ったのは、企業と学生に求める能力があまりにも乖離していたことによるものです。
よく、聞かれるのが「採ってみたが全く使えない」「大学で勉強した内容は戦力にならない」という本音。
この他に、中国への対抗意識もありそうです。
というのは、中国では知識集約型の就職予備校が人気だといいます。
大学を卒業しても即戦力になれず、IT技術の専門学校に行く人が増えているようです。
企業にとっては研修期間の手間暇を削減、経済界にとっては大国・中国に少しでも追いつきたい魂胆がありそうですね。
メリットはあるの?
専門職大学ということで、即現場に入っても通用する内容になるわけです。
そこで設置される主な学部候補になっているのが以下になります。
- IT
- 貿易実務
- 農業
- 観光
- 介護・看護・保育士
この学部でピンとくるかもしれませんが、どれも人手不足の職という事が当てはまります。
しかも、卒業までに単位取得する必要があり、全体の4割近くを企業で実習する事を義務付けるそうです。
これは企業からすればコスト要らず、学校からすれば高い就職実績を維持し続けるということで、産学両方にメリットしかないということになります。
学ぶ方のメリットとして一般大学と同様に、学士(4年)、短期学士(2~3年)の学位が付与されます。
これは応募する際、学歴のハードルが下がり専門学校より少し有利かなと考えたほうがいいですね。
しかし、このメリットを享受する前に忘れていけないのが学費の問題。
民間企業が多く参入する予定なので、4年制大学と同じ位の学費になることが予想されます。
仮に就職先が合わず辞めても借金が残ることになるので最悪、法科大学院の奨学金地獄の様に陥ることだってありえます。
就職しやすいという文言だけを鵜呑みせず、全体的に物事を捉えて決断するのは言うまでもないですね。
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一般大学と専門学校はどうなる?
専門職大学が出来ることにより、潰し合いが始まるわけですが、特に淘汰されていくのが文系学部。
そして、従来の専門学校は専門職大学・短大へ格上げされるそうです。
同じ学費、就職目指すなら専門職大学を選ぼうとするのが当然ではないでしょうか。
しかし、注意したいのが学士として扱える分野は制限が無く、調理師、整備士までもが対象になります。
もし卒業すれば調理学士、整備学士と、至る職業で学士の称号が付くことになります。
これでは学士の安売りにもなり兼ねず、応募しても学士の薄利多売が予想できます。
差別化にもならず、一体何のための専門職大学なのか訳が分からなくなりそうです。
結局、専門職大学の存在意義が不明なまま、従来の大学、専門学校と殆ど変わらないかもしれません。
就職しやすい優先キップを手に入れたという、軽い気持ち程度に考えておいたほうがいいですね。
まとめ
就職に直結しているということで、座学・実践を兼ねたシステムは良く出来てるなと思います。
しかし、元を辿れば全ては政界・経済界の一方的な都合によって仕分けられた結果に過ぎません。
一方で、これからの子供達が専門職大学に入学することになりますが、なりたい職業にユーチューバーが出てくる等、時代とともに価値観・職業観が変化しています。
そんな子供達のなりたい職業や要望を聞き取っているとは到底思えず、ミスマッチが起きる事でしょう。
それに現代は目まぐるしく移り変わり、柔軟性・多様性が無いと生き残れない厳しい時代。
これは専門職大学にもいえることで、常に時代を先読みした力が求められていくのは当然だと思いますね。
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