スキー場にある人工雪の作り方や費用は?天然雪と何が違うの?
冬になると雪が降りスキー場が活気付く季節。
ゲレンデは辺り一面に白銀の世界が広がり、その光景は雪の芸術作品といったところでしょうか。
しかし最近では地球温暖化によって、スキー場でも雪不足に見舞われ無残な姿に心が痛んでしまいます。
そこで再生の役目を果たすのが誰もがご存知の人工雪。
この人工雪は専用の機械から大量に放出されるわけですが、一体どのようにして作り出されているのでしょうか。
また天然雪と人工雪の違い、口に含んで大丈夫なのかも気になるところです。
これらの疑問点についてまとめてみました。
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人工雪はどうやって作るの?
よく冬になるとスキー場を始め、街中イベントで降雪機を使って雪を降らせているのを見かけます。
その雪の元となっているのが角氷で、一度に150キロの塊を粉々にし噴出しています。
これは降雪機の試運転を撮影したものですが、まるっきりかき氷機と同じでとってもシンプルですよね。
実際の現場ではこのカッターが高速回転し、強風を送ることで大量の雪を降らしているわけです。
これを見る限りただ氷を削っているだけに見えますが、人工雪というのは意外にコストが凄く高い。
その相場として100平方メートルで、20cmの雪を積もらせるのにおよそ100~150万円ほど。
これはコンビニの広さに相当し、思った以上に割高な雪ということになります。
何故こんなに高いのかというと、降雪機を動かすための燃料費や氷を大量に運ぶ費用がかさんでしまうからです。
最近では年々の気温上昇が追い打ちをかけ、このコスト範囲に収まりきらなくなってきました。
そのせいで2050年には最盛期の1/5にまでスキー場が減るという報告もありますから、天然雪はおろか人工雪すら見られなくなる日は近いといえます。
天然雪と人工雪の違いは?
天然雪も人工雪も見た目はどちらも白い粒だし、違いは大して変わりないと思ったはず。
しかしそんなことは全く無く、形からして明らかに違いがあります。
こちらは天然雪の結晶ですが、幾何学模様をしていてとても美しいですね。
こちらは人工雪の結晶になりますが大きさ全てバラバラで、見れば見るほど気分が損なわれ汚いの一言に尽きます。
実はここまで明らかな違いがあるのは、作られる過程によって決まります。
天然雪の場合、雲の中で過冷却された水蒸気が結晶となって地表へ降下。
途中経過による大気中の温度や濃度の変化で、様々な規則性を持った形が作られることになります。
一方の人工雪は先程の動画にもあったように、刃で氷を削るのでどうしても粗くなってしまいます。
これは野菜や果物の皮を剥くのと同じで、綺麗な形状にするのは不可能に近いというもの。
また、人が受ける体感にもはっきり表れていて、自然雪は柔らかくてふんわりしている、人工雪は固くて痛いなんてよく言われたりします。
形が違うだけでこれほど差があるなんて、自然の美というのは実に神秘的といえますよね。
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口に含んでも大丈夫?
あなたも過去に一度や二度、雪を口に含んだ記憶があるかもしれません。
その味や食感といえば本当にかき氷のようで、シロップを常に持ち歩きたいと思ったこともあるはず。
このように無料で美味しく食べ放題なのはとても喜ばしいことですが、現実というのは酷いものです。
天然雪については環境汚染物質やPM2.5、塵、ホコリといったものが多く付着していてかなり汚い。
ただし、降りたての綺麗な部分を少し食すぐらいなら人体に問題は無いようです。
人工雪はというと、製氷工場で作られていて食用にも使える氷を使用しています。
なので健康や環境に悪影響を及ぼす事は一切ありませんが、降雪機の油や煙で汚れている可能性が高くお勧めできません。
どちらにも言えることですが、外で雪を食べるというのは低体温症になるリスクが高くなります。
無謀に食す行為となるので、チャレンジャー以外はやめておきましょう。
まとめ
以上、人工雪がどのようにして作られるのか見てきましたが、費用や成分の違いがここまであるのは中々気づきにくいことですよね。
そんな人工雪は戦前、中谷宇吉郎という博士が世界で初めて作り、さらに天然雪の作られる過程も解き明かしています。
それを踏まえた上である時、博士はこんなことを言いました。
「雪の結晶は空からの手紙です」
人工雪にしろ天然雪にしろ、この一言は歴史の重みをひしひしと感じさせてくれます。
スキー場に足を運んだ際、雪の有り難みや貴重さを意識すれば、充実感が一層増すはずですよ!
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